AIに入力してはいけない情報個人情報・社外秘を守る仕事のルールと、各社の学習設定
生成AIに入力してはいけないのは、パスワードやカード番号などの「秘密そのもの」、本人の同意のない個人情報、会社が外に出すことを認めていない社外秘です。入力した内容は、サービスや設定によっては、AIの学習や保存の対象になります。
この記事では、仕事の場面ごとに「入力してはいけない情報」と「気をつけて入力する情報」を整理し、各社の学習設定と、会社でのルールの決め方を紹介します。
なぜ入力する情報に気をつけるのか
生成AIのサービスに入力した内容は、サービスや設定によって、次のように扱われることがあります。
- AIの学習に使われる:入力した文章が、AIを改良するための学習データになることがあります。
- 一定期間保存される:学習に使わない設定でも、安全のためなどの理由で、サービス側にしばらく保存されることがあります。
- 人が見ることがある:サービスによっては、品質の確認のために人が会話を見ることがあると説明されています。
個人情報保護委員会も、2023年6月2日に生成AIサービスの利用についての注意喚起を出しています。会社などが個人情報を入力するときは、利用目的の範囲内かを確かめること、入力したデータが機械学習に使われないことを事前に確かめることなどを求めています。
入力してはいけない情報
✕ パスワード・暗証番号・認証用のコード
✕ クレジットカード番号・口座番号
✕ マイナンバー・運転免許証・パスポートなどの番号
✕ APIキーなど、システムに入るための鍵
✕ 本人の同意のない個人情報(お客さん・社員の名前と連絡先・住所・病歴など)
✕ 会社が外に出すことを認めていない社外秘(発表前の新商品・決算・人事・取引先との契約の中身など)
とくに病歴や犯罪の経歴などは、法律で特に慎重な扱いが求められる「要配慮個人情報」にあたります。
気をつけて入力する情報
| 情報 | 気をつける理由 | 安全に使う工夫 |
|---|---|---|
| お客さん・取引先の名前 | 個人情報や取引の秘密にあたる | 「A社」「Bさん」に置きかえて下書きを作り、最後に自分で名前を入れる |
| 社内の会議メモ | 社外秘が混ざりやすい | 会社が認めたサービス・プランで使う。秘密の部分は消してから入れる |
| 契約書・見積書 | 金額や条件は取引の秘密 | 金額や社名を消して、文の形だけ見てもらう |
| 他人が書いた文章・画像 | 著作権の問題になることがある | 要約や確認に使う。似た作品を作らせない |
| 知らない人から届いたメールや資料 | こっそり指示が仕込まれていることがある(プロンプトインジェクション) | AIエージェントに読ませて、そのまま操作させない |
各社の「学習に使わせない」設定
2026年10月11日に各社の公式ページで確かめた内容です(学習への利用(オプトアウト))。
| サービス | 個人向けプラン | 会社向けプラン |
|---|---|---|
| ChatGPT | 設定の「データコントロール」→「すべての人のためにモデルを改善する」をオフ | Business・Enterprise は初めから学習に使わない |
| Claude | 設定の「プライバシー」で、学習に使わせるかを選ぶ | Team・Enterprise は初めから学習に使わない |
| Gemini | 「Gemini アプリ アクティビティ」をオフ | Google Workspace は、顧客の許可なく生成AIの学習に使わないとされている |
| Copilot | 設定で「会話アクティビティでのトレーニング」をオフ | 会社のアカウントでは、入力や回答を基礎モデルの学習に使わないとされている |
どのサービスも、「いいね」などのフィードバックを送った会話は扱いが変わることがあります。くわしくは各社の公式ページ(この記事の下の出典)で確かめてください。
大事なこと:学習に使わない設定にしても、「何を入力してもよい」わけではありません。パスワードや本人の同意のない個人情報は、設定にかかわらず入力しないのが基本です。
会社で決めておきたいルール
社員が自分の判断でいろいろなAIを使い始める(シャドーAI)前に、最低限のルールを決めて共有しておくと安心です(生成AIの社内ルール)。
- 使ってよいサービスとプラン:会社が認めたもの(学習に使わない会社向けプランなど)を決める。
- 入力してはいけない情報:この記事の一覧をもとに、自社に合わせて決める。
- 答えの確かめ方:数字・固有名詞・法律に関わる内容は、必ず人が確かめてから使う(ハルシネーションへの対策)。
- 困ったときの相談先:迷ったら誰に聞くかを決めておく。
国の「AI事業者ガイドライン」(総務省・経済産業省)や、デジタル庁の資料も、ルールづくりの参考になります。
すぐできるチェックリスト
- □ 入力しようとしている文章に、パスワード・番号・個人の連絡先が入っていないか
- □ 社名や人名は、置きかえられないか
- □ 使っているのは、会社が認めたサービス・プランか
- □ 学習に使わない設定になっているか
- □ AIの答えを、そのまま外に出していないか
よくある質問
学習に使わない設定にすれば、何を入力しても大丈夫ですか?
大丈夫とは言えません。学習に使われなくても、サービス側に一定期間保存されることがあります。パスワードや本人の同意のない個人情報は、設定にかかわらず入力しないのが基本です。
お客さんの名前を入れて、メールの下書きを作ってもよいですか?
会社のルールと、使うサービスの扱いによります。名前を「Aさん」のように置きかえて下書きを作り、送る前に自分で名前を入れる方法なら、個人情報を入力せずにすみます。
会社のルールがまだないときは、どうすればよいですか?
まずは「使ってよいサービス」「入力してはいけない情報」「答えを必ず確かめること」の3つだけでも決めて共有するのがおすすめです。国の「AI事業者ガイドライン」も参考になります。